生命を左右させる保存水

人の体は体重の60%が水分でできていると言われています。その水分は日常の汗や尿によって排出されるため、適度な水分補給が必要です。目安は1日2~2.5リットルで、食事の野菜から摂取できる水分もこれに含まれ、普段の生活で“飲む”水分は1~1.5リットルが適当です。もちろん水分を多量に消費するスポーツ時は別です。
2011年に東日本大震災を経験してから、日本では非常時の食と水分の確保について見直しがなされています。災害時は電気・水道・ガスが使えなくなる可能性が高く、それでも水分だけあれば数日間生きられます(年齢や体力、健康状況により異なります)。実際に東日本大震災でも9日間ヨーグルトなどを食べて飢えをしのいだ16歳の少年と80歳の女性が発見され、話題になりました。こうしたことからも、最低3日、余裕があれば1週間分の食と水、その他生活に必要な最低限のアイテムを準備しておくことが重要です。
水は1人1日3リットル必要と言われ、5人家族の場合3日間で45リットル、2リットルペットボトル22.5本分とかなりの量です。これを家に備蓄するスペースの確保すら大変です。
そして未開封の水でも賞味期限が設定されています。2リットルミネラルウォーターで2~3年、保存水として販売されているものは5~10年です。この賞味期限の違いは製造時の殺菌方法の違いによるもので、ミネラルウォーターは天然の風味を活かすために加熱しない方法が用いられ、保存水は加熱殺菌されます。実際には“賞味”表示のものは美味しく飲める期限なので、正しく保存していればそれを過ぎても飲めます。賞味期限が近付いた水は料理に使えばいいですが、また新たに家族分の水を購入するのも家計の負担になりかねません。特に保存水は賞味期限が長い分、値段もミネラルウォーターの2~3倍です。
一方で、水は飲むだけでなく、非常食の調理などに使えます。非常食は加熱調理不要でそのまま食べられるものがほとんどですが、水を加えてふやかしたりスープにするものもあります。また、このような非常食は塩分濃度が高く、短期間に多量に摂取すると体調を崩す場合もあります。非常時だからこそ、水分と栄養、エネルギーをバランス良く摂取することが求められます。
コンビニの普及により欲しい時に欲しいものがすぐ手に入るらめ、保存することの重要性が薄れています。自然災害はいつどこで起きるかわかりません。個々の家庭で必要最低限の水と食の備蓄の見直しが大切です。